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コラム2007年8月

歯や口の衛生と健康生活 ~特に高齢者の歯は健康の益になるし、害にもなる~

平成19年8月1日

福岡大学名誉教授 前医学部歯科口腔外科教授
博愛病院 非常勤勤務   都 温彦

回は、歯や口の中や手、顔や全身を清潔に保つこと、そして食事を丁寧に食べる事が健康生活にとって基本的に大事であることを述べました。お母さんのおなかの中で胎児の体の部分がそれぞれ育ってゆく段階では、先ずうまれてから直ぐ生きてゆくために大事であり、必要な臓器から出来てゆきます。

生の初期の4週になると脳と口と心臓が出来る場所がみられます。次に、胎生の6週半(体長の11mm)の項には歯が萌えるために必要な上と下顎が出来始めます。そして、生まれてから直ぐ口から母乳を吸い、食道、胃へと飲み込み嚥下運動が出来る様に胎生期の約12週(2.8ヶ月)頃には嚥下運動が始まり、羊水を吸引しています。このような現象は海水の中の魚のあり様に似ており、人間が海の中の魚から進化してきたことを物語っています。

ともと私達人間も含めて地球上の生物は海から生まれてきたわけですから、人間の赤ちゃんも母親の体内で育つ環境は海と同じであるといえましょう。24週(5.6ヶ月)頃になると胎児は1日450mlの羊水を嚥下して消化管より吸収し、450mlの尿を排泄しているといわれます。羊水は胎児の生活環境であり,胎児の生命現象と生物の進化の過程を反映しています。このようなことから,赤ちゃんは生まれてから直ぐに問題なく哺乳が行われるわけです。つまり哺乳は胎生期の早期から発達している先天的なものなのです。

一方食べ物を歯で噛んで食べる咀嚼運動は出生後、歯が萌てから後天的に獲得する能力です。ですから乳歯が萌え始めると、その歯の咀嚼機能に応じた食べ物を与えることができます。したがって乳歯の萌出にあわせた食べ物の咀嚼を教えることも大事になります。

や口の粘膜は全身の健康状態を表している

康人にしろ,病人にしろ、口の中は心や身体の健康状態を表します。心身の状態が良い時、自覚的に口の中は爽やかです。そして舌や口の中の粘膜は張りがあり、ピンク色をしており、しまっています。唾液の分泌も豊富で、口の中には食べ物の残りかすの付着が殆ど見られません。一方、心身の状態が悪い時、口の中は粘々しており、鬱血状態です。舌の表面は幾分、腫れ気味(浮腫)、色はやや暗い赤色を呈しています。これは血行が悪いことを示しています。そして口の中の粘々は唾液の分泌量が少ない事を意味しています。舌表面の白い苔は体調不良や食事での粗噛みの場合が多く、よく噛む咀嚼や、会話などで舌を動かす人には白い苔は少ないようです。乾いた口の中や舌の白い苔の中には沢山のばい菌が繁殖していますので歯ばかりではなく、柔らかい歯ブラシで舌の表面や歯茎や頬の粘膜もやさしく擦ることも必要です。

に高齢者の歯は健康の益になるし,害にもなる

が勤務している福岡市西区にある白十字病院の二つの療養病棟の患者さんについて1ヶ月間における37℃以上の平均発熱日数を比較してみました。その結果、脳障害がある寝たきりで経管栄養を行っている患者さん達を見ると、多数の歯がある患者さんの発熱日数は平均17日そして歯が無い患者さんは平均14日であり、歯のあることが発熱の原因になっていることが示唆されました。その理由は歯周ポケットの深化や歯間部の食物残渣などの腐敗があげられます。ここに口腔ケアの意義があります。次に、口からの食事ができ,運動療法を行い、在宅医療を目指している病棟入院患者さん(平均年齢76.0歳±9.4)全体の平均発熱日数は6.5日、そして寝たり、経管栄養を行っている病棟入院患者さん(平均年齢70.3歳±16.2)全体の平均発熱日数は11.8日でした。このように高齢者における歯の有無と口から歯で咀嚼する食事は発熱とその抑制に影響することが考えられました。そして食べ物を歯や義歯によって咀嚼する食事は経管栄養のように噛まない食事に比べ、発熱を抑え,全身の免疫力を高める益になっていることが分かります。いずれにせよ高齢者の歯や口の中を清潔にすることは発熱の予防そして肺炎の予防にとって非常に重要なことになります。

愛病院では入院患者様のみならず特に寝たきりの患者様の歯や口の中を清潔にして口臭や口の中の乾燥を防ぎ、歯や口の不潔から生じる嚥下性肺炎の予防のために口腔ケアも大事にして行っています。

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